第15章 【特別編】甘え日和。
早く帰りたいと思いつつ歩が着替え終わるのを待っていると、控え目な音と共に試着室のドアが開いた。
「サイズはどうでしたか?」
「大丈夫です」
すぐに声をかける店員に、ワンピースの裾を持ち上げながら答える歩。
「お兄さんもどうぞ見てあげて下さい」
「はぁ…」
店員に促されながら近くまで行くと、真っ白なワンピースに身を包んだ歩とばちっと視線が絡まった。
「どうかな?」
「いいんじゃねぇの?」
ふわりと裾が柔らかく膨らんだワンピース、胸元はレースとリボンでで可愛らしくなっている。
よく似合っている。
…それが、率直な感想。
たぶんこの店にいるどの女の子よりも似合っているし、歩の可愛さを惜しみなく引き立てている服は、歩の為に作られたものではないのかと錯覚してしまうほどだ。