第15章 【特別編】甘え日和。
驚く店員に、そこまで驚くことか?と疑問を持ちながら歩に視線を送ると、ずいっと色違いの服を目の前に出される。
「お兄ちゃんはこっちとこっち、どっちがいい?」
先ほどとは違うお兄ちゃん呼びに引っかかりを覚えながらも、二つの服を見つめる。
淡いピンクのワンピースと、真っ白なワンピース。
淡いピンクは女子の可愛さを引き立て、真っ白なそれは女子の清廉さを引き立てる。
…っつかお前、男だろ。
そんなツッコミを心の中で呟きながら、俺は真っ白なワンピースを指差した。
「じゃあちょっと試着してくるね!」
隣にいた店員に案内されて歩は試着室に入る。
そうなれば俺と店員が残される訳で、気まずさが辺りを包むが、そこは店員だ。
「仲がいいんですねぇ〜」
ニコニコとたわいのない話題を提供してくる店員に、俺も愛想笑いを浮かべた。