第15章 【特別編】甘え日和。
比較的暖かな今日は人通りも多く、それだけで憂鬱になっている俺の手を引っ張って進んでいく歩の姿。
家族連れやカップル、友人と来ているであろう学生とすれ違いながら、俺は空を見つめた。
「…で、まずどこに行くんだ?」
「雑誌で見たお店!」
そのお店の場所を分かっているのであろう歩は、足を止めることも迷う素振りも見せずに先を進んでいく。
そういえば、こうして二人でショッピングに出かけるのは初めてかもしれない。
ちらちらと歩に視線をやっている男共に睨みをきかせながら、歩の後をついていく。
俺たちの姿は、周りの人間からはどう見られているのか。
ぴょこぴょこと跳ねるツインテールの髪を目で追いかけながら、俺はそんなことを思っていた。