第13章 【番外編】遠い記憶のその先に。
「頼むから、普通に起こしてくれ…」
はあっ、とため息を吐いて項垂れる真澄の声を聞きながらも、俺の視線は一点を見つめたままだった。
真澄がパジャマ代わりとして着用している厚手のパーカーが乱れ、その隙間から綺麗な首筋、そして鎖骨までもが覗いている。
自分の格好がどれだけ俺の欲情を煽るのか、分かってるのかな…。
「歩…聞いてんのか?」
聞いてません。
俺はふっと真澄が顔を上げる前に体を近づけ、その首筋にちゅっと唇を寄せた。
「んっ…?!」
ビクッと体を後ろに下げた真澄の背中に手を添えてぐいっとこちらに近づける。
「お前っ、朝から何盛って…!」
慌てた真澄が俺の体を手のひらで突っぱねるよりも早く、もう一度唇を寄せて強く吸い上げた。