第1章 honey.1
だからって昨日のは許せないし、もうしないと言われてもそう簡単に信じてやれる訳がない。
…こうやって顔すら合わせたくないくらいだからな。
俯いたままで、シャツの裾をぐっと握り肩を震わせる歩をちらっと盗み見る。
「…今までずっと一人だったから、嬉しくて…」
ポツリと呟いたか細い声が耳に届く。
「それが俺を襲った理由か?」
バカバカしい。
嬉しかったからと手を出すバカがどこにいる。
…いや、ここにいるのか。
「大体、年下にヤられたって自体許せねーんだよ」
「……っ」
ビクリと震える歩を見て俺はさらに畳み掛けた。
「しかも男だってことも隠してたよな?
そんなやつ信じられるかよ」
吐き出すように言い捨てた俺は、からになったマグカップとヨーグルトのカップを持って立ち上がった。
そして未だ俯いたままの歩の横を通り過ぎる。
その時、キラリと反射した何かを俺の視界が捕らえた。