第1章 honey.1
気にせずにヨーグルトを食べテレビを見ている俺の隣でピタリと立ち止まった歩。
視線は動かさないが、視界の端でその姿はしっかりと確認していた。
「…ごめんなさい…」
「謝られてもな…」
なんだ、罪悪感の一つや二つはあるんじゃねーか。
食べ終えたヨーグルトのカップをテーブルに置き、代わりにとったコーヒーを口に含む。
ヨーグルトの後味と混ざり合ってなんとも言えない。
「……ごめんなさい…」
「親父が帰ってきたら、お前出て行って」
やっとヨーグルトの酸味を打ち消したコーヒーの味を堪能し、ソファーに深く体を沈める。
昨日は上手くやれそうだと思っていたのに。
一緒に囲んだ食卓。
交わした会話。
…別に嫌いじゃなかった。