第11章 honey.11
ちゅ、と小さく音を立てて唇が離れていく。
歩はそのまま俺の肩口に顔を埋め、何も言わずに身体を密着させる。
背中にある歩の手が俺の体温よりも低く冷たい。
「……ね、真澄?」
「…ん」
首筋を掠める歩の熱い吐息にくすぐったさを感じながらも、答えを返す。
「あの生物教師に何されたのー…?」
へ…?
言葉を口にする前に俺の体がふわっと重力に逆らい、ボスっとソファーに縫い止められる。
「あゆっ?!」
「言って。何されたの?」
ギシッとソファーが軋み、俺に馬乗りになった歩が自分の唇をペロリと舐め、高圧的な視線で見下ろしてきた。
「何って…」
「ん?言わないなら勝手にやるけど」
口ごもる俺の服を掴んで一つ一つボタンを外して行く歩の手。