第11章 honey.11
乱れた制服をきちんと身にまとった俺は、歩と一緒に久しぶりの我が家へと足を踏み入れた。
「……ただいま」
一瞬迷ったが、ここが俺の家である事には変わりないと思った俺は小さくその言葉を呟いた。
それを聞いた歩は驚いたように目を見開いたが、すぐに嬉しそうな笑みを浮かべると噛みしめるように声を発した。
「おかえり…」
しばらくご無沙汰になっていた我が家。
身体中がベタついている不快感もあって、俺はすぐに風呂場へと向かう。
別に歩が言った言葉に従う訳ではない。
これは自分の意思だ。
まだ、変態教師が触れた感触が至る所に残っている。
「………真澄」
ガチャッ、と風呂場へと続く扉を開こうとした時。
背後にいた歩が俺の頭を抱き寄せ耳元でやっと聞き取れる、掠れて消え入りそうな声が直接響いてきた。
「……………ごめん……」