第11章 honey.11
「……え?」
もう一度聞き取ろうと振り向きかけた俺の身体は、強引な歩の手によって風呂場に押し込められる。
「あゆ…」
「早く入っておいでよ」
照れ隠しのような言葉に遮られ、俺は開いていた口を閉じた。
白い湯気が湯船の中から上へ上へとのぼっていく。
制服を全て脱ぎ捨てた俺は、まずベタつく身体を洗う作業から入った。
「……はあっ」
暖かなお湯でぱしゃっと顔を洗うと、全身の力が抜けた様にほっとする。
……そいえばお礼、言ってねえや。
結果的に歩は俺を助けてくれた訳で。
何で俺が脅迫されていたのを知ってるのかなど、気になる点はいくつもあるのだが、今はそこまで頭が回らない。
もう、あの変態教師に体を弄られることはないと思うと涙が滲むくらい安心した。