第11章 honey.11
嵐の様に、歩の登場で事はあっという間に解決した。
……終わった、のか?
未だに状況が把握できてない俺の手首を拘束していたネクタイを外した歩。
シュルッと音を立てて落ちたそれは、くっきりと赤い痕を俺の手首に残していた。
「………」
何も言わずに指先で赤い印を辿っていく歩が触れるそこにピリッとした痛みが走る。
「…っ」
擦れ過ぎて皮が剥がれたのだろう。
ピクッと反応した俺を見た歩は、手首を掴むとゆっくりと自分の口元に持っていく。
「あゆっ…!」
ペロッ。
唇の間から覗いた赤い舌が見せつける様に俺の肌の上を滑っていく。
「っあ……」
ビリビリと唾液が傷口に染みる。
すん、と鼻を鳴らした歩は痛みに反応して小刻みに震える俺を見ると口を開いた。
「とりあえず話は、俺以外の男の匂いを落としてからだね」