第11章 honey.11
…デジカメ?
それ以外考えられないその機械を見た変態教師の眉毛がピクリと反応する。
「悪いけど、この中のデータ全部消したから。これで脅迫のネタもなくなったね」
ふふっと楽しそうに笑った歩はガシャンッとデジカメを床に叩きつけた。
無残にヒビが入り、小さな破片が飛び散る。
「…真澄に二度と手を出さないと誓え」
誓わないならこっちにも手があると続けざまに言った歩を見つめる変態教師は、ふうっと息を吐くと机に体を預けた。
「降参。…わかったから、そんなに睨まないでよ」
少しも悪びれた様子のない変態教師はそのまま生物教室の扉を開ける。
出て行く前にこちらを振り向いたそいつは、ちゃんと学校には来なさいと、いかにも高校教師らしい言葉を歩に投げるとガラッと扉を閉めたのだった。