第1章 honey.1
風呂に入ったことで気持ち一転、爽やかな気持ちになった俺は一人台所に立っていた。
「…ねみぃ」
あくびを噛み殺しながら朝食の準備をするも、なんとなく気が進まなない。
昨日はいろいろと驚くことがあったからな…。
親父の再婚。
いきなりできた妹は実は男。
しかも昨夜、いきなり襲われた。
…なんか不憫。
自分で自分に同情するなんて。
「……はぁ」
本日何度目かわからないため息をついて俺は朝食作りを止めた。
冷蔵庫に入っていたヨーグルトと湯気を立てるマグカップを持ってリビングのソファーに腰をかける。
つけたテレビにはニュースのまとめが簡潔に読まれている所で、俺はスプーンを口にしたままヨーグルトの蓋を開けた。
……ガチャ。
ゆっくりと開いた扉。
開ける人物なんてこの家には俺以外、1人しかいない。