第10章 honey.10
そして鬱陶しい一日がまた始まる。
校内で歩の姿を探している自分に気づいても、俺は家まで様子を見に行く勇気は持てなかった。
歩を気にする日々。
変態教師に脅迫される日々。
「………」
彰はそんな俺を普段と変わらずに接してくれていた。
俺が家を出て彰の家に住み着く日々が長くなるにつれ、俺の中にある歩の面影が薄くなっていく。
このまま何も無かったことに出来るのか。
いや…出来ないだろう。
こんなに俺の心を占めているあいつの事を無かったことになんか出来ない。
「………っ」
答えが出ない想いを抱えたまま、時間だけが過ぎている。
このままダラダラと過ごしてはいけないとは分かっていても…。
俺は何も出来ないんだー…。