第10章 honey.10
ポケットから携帯を取り出して中を確認するも、彰からの連絡はなかった。
いつもは連絡をくれるが…。
買い物にでも言ったのかな。
きょろっと辺りを見渡した後、喉の渇きを覚え冷蔵庫の扉を開ける。
ガチャッ、っと中にあるビンなどがぶつかり合う音に誘われたのか、クロがにゃあと泣きながら足にすり寄って来た。
「…ん?お前も喉が渇いたのか?」
「にゃー」
一声鳴いたクロにミルクを与え、俺もミネラルウォーターで喉を潤す。
「…っは。……」
ゴクンッと喉がなる。
少し濡れた唇を親指で拭って、ペロペロとミルクを舐めるクロの背中を撫でた。
時計の針はもう21時を過ぎている。
…遅い。
いくらなんでも連絡なしにこんな時間まで帰って来ないなんて事は今までに無かった。