第9章 honey.9
よろよろと校内を歩いて行く。
途中、生徒達がすれ違う度に楽しそうな声が耳に響きその度に吐き気を催した。
…っ、気持ち…悪いっ…。
ぐっと吐き気を飲み込んで、トイレに辿り着いた俺は蛇口を捻るとすぐに水を口に含んだ。
冷たいそれが口一杯に広がる。
「…ぅえっ、げほっ…はぁ、っ…」
その途端に記憶が蘇って俺はむせ返った。
唇を無理やりこじ開けて入ってきた圧迫感。
ぬるりとした感触に捕らえられるあの不快感。
全てを吐き出してしまいたくても、吐き出せることはない。
…帰ろう。
こんな状態で授業なんかまともに受けれる訳がない。
吐き出した俺の熱で汚れた指先を、赤い舌を覗かせて舐めとった変態教師の顔がいつまでも脳裏に残っていたー…。
【END】