第9章 honey.9
「真澄くんも分からないなら、様子見に行った方がいいのかな…」
黙った俺を見た生物教師が顎に手を添えてぼそっと呟く。
「連絡とかは…?」
「それが全くないんだよね…」
はあ、と息を吐いた教師を見てざわっと胸が騒ぐ。
前に家に帰った時に生活感が全く無かったキッチンを思い出してそのざわめきは大きく広がっていった。
まさか…。
いや、一応あいつだって高校生だ。
ただのズル休みだろうと頭では思っても、一度考えてしまった予想は悪い方へと進む一方で…。
一度帰った方がいいか…?
でもどんな顔で会えばいい?
二つの思いが対立する中で、俺はぎりっと歯を噛み締めた。
…なんで俺はこんなに焦っているんだろうか。
「……はぁっ」
一旦落ち着こうと息を吐いた時だった。
俺の視界がガクッと揺れたのはー…。