第9章 honey.9
ガチャンと扉の鍵が閉められる。
これで完全にこの生物室は閉ざされた部屋となってしまった。
「…鍵かける意味あんのかよ」
「誰に聞かれるか分からないからね」
前の君みたいに、と続けた生物教師にため息をつく。
先程の言葉にまんまとつられた俺は、眠っている彰を置いて嫌々この教師について来た。
「…で、歩の話って?」
久々にこの名前を口にした用な気がする。
「あぁ…ずっと学校に来てないから、お兄さんの真澄くんならその理由が分かるかと思って」
………は?
ずっと来てない…?
「それっていつから…」
「いつからだろう…確かなことはよく覚えてないんだけど、少なくとも2週間以上は来てないね」
そういえばこいつは1年の副担任をしていると前に言っていたな、などとどうでもいい情報が頭の中を巡る。
そんな事を考えたながらも俺の頭は若干パニックになっていたのだった。