第9章 honey.9
「おはよう。ぐっすり眠れたみたいだね」
「説教でもしにきたんですか?」
にこっと笑みを浮かべる生物教師に嫌気が差し、皮肉たっぶりな言葉で返すといや、と相手は首を緩く左右に振った。
…っつか、また真澄って呼びやがったこいつ。
「ちょっと話があるんだけどいいかな?」
その言葉にちらっと彰の机の方を見ると、やつはまだすやすやと寝息をたてている。
教室内は授業が終わり昼休みに入ることでざわざわと騒がしい。
「…ここで言えないんですか」
こいつと2人っきりになるのも、ましてや職員室に行くのも嫌だ。
睨みあげる俺を見て、うーんと唸った生物教師はすいっと顔を近づけてきた。
「……君の妹の話なんだけど」