第9章 honey.9
「聖せんせーっ!」
「今日もかっこいーっ!!」
女子生徒の黄色い声援の後ろで授業開始のチャイムが鳴った。
「はーい、授業始まったから席についてねー」
ひらひらと手を振って女子生徒の歓声に応えながら教卓に立つその姿を視界に入れないように、視線を下げる。
っつかいつの間にこんなに人気になったんだ…?
ちら、と彰に視線をやると眉間にシワが寄っていた。
「あ、真澄くん。風邪治ったの?」
彰の視線を辿って生物教師に目を向けた時、あちらもこっちを見ていたようでばちっと目が合ってしまった。
………真澄、くん?
馴れ馴れしく下の名前で呼んできた奴をギロリと睨むと、生物教師はこてんとわざとらしく首を傾げた。