第9章 honey.9
「…で、どうしよっかこれ」
見送っていた担任の背中が完全に見えなくなった所で、彰が横目に俺を見て聞いてきた。
「どっかに捨てとけ」
俺の分のプリントを差し出してきた彰を無視して教室まで歩いて行く。
「えーっ、俺も捨てたいんだけどさぁ…」
背後から聞こえてきた彰の言葉の続きは何と無く分かる。
“出さないと後が怖い。”
…あの担任になったのが運のつきか。
とぼとぼとついて来た彰の腕の中から俺の分のプリントを乱暴に引っ手繰る。
「…しょーがねえな…」
「担任がアレじゃなければ俺もプリント捨てたいんだけどね」
「…っとにな。めんどくせ」
パラパラと枚数を数えるとそれは10枚以上あった。
…絶対これ担任の嫌がらせ分がプラスされてるな。
普段めったに授業で宿題が出ない分、この量はおかしい。
もう考えたくねぇ…。
俺は乱暴にプリントをカバンに突っ込んで俺は大きなため息を吐くのだった。