第9章 honey.9
「ねえ辛くない?まだ休んでもいいんだよ?俺看病するし…」
あーっ、もう!!
「しつけえっ!」
学校に行く準備をする俺にまとわりついてくる彰を押しやって、奥にあるネクタイを手に取る。
ったく…。
もう熱も下がって体調もいい。
こんなに早く良くなったのも、彰が寝ずに看病してくれたお陰だ。
“早く体調良くなってね”
なんて言っておきながら…。
「…お前、学校行きたくねーだけだろ」
「あ、バレてる?」
ギロッと睨むと、ペロッと舌を出した彰が笑った。
そんな彰をほおっておいて俺は緩くネクタイを結んだ後、今日ある授業を思い出して軽くため息を吐く。
生物があんのか…。
俺に背を向けて同じく用意をしていた彰もその意図に気づいたのか、ニヤリと口角を上げる。
「…サボっちゃう?」
「………」
その魅力的な提案に一瞬言葉に詰まるも、バカか。とだけ返して俺はカバンを肩にかけた。