第8章 honey.8
「……うん、重い!」
ふざけんな!
お前が全体重かけていいって言ったんだろーがっ!!
ギリギリと目の前にあった彰の二の腕をつねると、いたたたたっ、と大袈裟に反応する。
「黙って食わせろ」
「はい。すみません」
…ったく、ただでさえ口を開くだけでもキツイって言うのに…。
苦笑いの彰が机にあったおぼんを引き寄せ、鍋のフタを開けるとふわりといい匂いが漂った。
「まっすん卵粥、大丈夫だったよね?」
レンゲに掬ったお粥を確認した彰がこちらをうかがう。
「……ん。…あ」
コクリと小さく頷いた後、あー…と口を開けると彰ははいはいとレンゲに乗ったお粥に息を吹きかけた。
「はい、火傷しないようにね」
そこまでガキじゃねぇよ。
口元に持ってこられたお粥を小さく開けた口に含む。
程よく冷まされた卵粥。
温かなそれが舌の上にのると、体がほっとため息をつく。
どうやら自分が思ってたよりも空腹だったらしい。
次のお粥を催促すると、彰も食欲がある俺に安心したのかはいはいと返事をしながら次のお粥を冷ましてくれた。