第8章 honey.8
彰のいなくなった部屋をゆっくりと見渡すが、そこに歩の姿は無かった。
…さっきのは夢か…。
当たり前だ。
ここに歩がいるはずがない。
はあ、と息を吐いてから頭に手を置くとおでこに冷やしたタオルが置いてあった。
気持ちいい…。
おでこの熱を吸い取ってくれるような気持ちよさ。
「……ん」
…そういえば俺、学校で倒れたよな?
わざわざ彰が運んでくれたのか…?
もう一度学校に来てから俺を運ぶなんて二度手間をさせてしまった彰に罪悪感が芽生える。
あとでお礼言わねえとな…。
再びうとうとと眠気が襲ってきた所でガチャリと扉が開き、おぼんを持った彰が入ってきた。
「まっすん、お粥食べれる?」
「あぁ…」
体を起こそうとしたが、体に上手く力が入らない。
そんな俺を見て、近くの机におぼんを置いた彰が手助けをしてくれた。