第8章 honey.8
「…ん」
痛い。
頭が割れそうだ…。
「あ、まっすん起きた?」
………彰?
その声に夢うつつだった意識が覚醒し、俺は重いまぶたをゆっくりと開けた。
天井の電気の光に目を何度もぱちぱちと瞬かせ、瞳が慣れたころに目を開けると、心配そうに俺の顔を覗き込む彰と目があった。
「良かった…。もう、気分悪かったなら悪いって言わないと」
ほっと息を吐いた彰が、小声で俺を叱る。
「ごめ…けほっ…」
朝から気分が悪かったことは無かったと思うのだが、この状況で弁解する気力も無く、俺は素直に謝罪の言葉を口にしたのだった。
「大丈夫?何か食べる…?」
「いや…いらね…」
「でも何か口にしないと薬飲めないよ?」
「…ん…」
それはごもっともだ。
「食べられるだけでいいから…ね?」
「……ん」
コクリと頷くと、彰は俺の頭をよしよしと撫で部屋から出て行った。