第8章 honey.8
……暑い。
ふわふわとした意識の中でゆっくりまぶたを開けると、真っ暗な教室の天井が目に入った。
「……?」
一瞬、自分がどこに居るのか分からなかったが、すぐに空き教室で寝てしまったのだと自覚した。
…いま、何時だ?
空き教室にある時計の針はもうずっと時を刻む事はない。
手だけを伸ばしカバンの中を漁ると、目当てのものはすぐに指先に触れた。
「………」
画面を開くと17:48の文字。
やべ…結構寝てた。
もう授業はとっくに終わってしまっている。
冬の期間は部活時間は短くなる。
もう部活動の終了時間だ。
この教室は学校の隅にあるため、光が届きにくく、時間にしては部屋の中は暗い。
寝過ぎたためか、ズキズキと痛む頭を抑えながら起き上がる。
「…はあ…」
若干、体がダルいのは気のせいだろうか…。