第8章 honey.8
エサを食べ終えたクロがすりすりと足元にすり寄って来る可愛さに、学校に行くのがめんどくさくなる。
…が、俺とて出席日数がよろしくないので休む訳にはいかない。
名残惜しさを感じながら子猫の体を抱き寄せ、着替える為に部屋に入る。
「……はぁ…」
彰の少し大きなTシャツを脱ぎ捨て、学校の制服に着替えネクタイを締めた。
しん、とした部屋の中。
考えるのはー…。
いや。
やめだやめだ。
ぶんぶんと頭を振って考えを吹き飛ばすと同時にドアが数回ノックされ、外から彰の声が飛んできた。
「まっすん用意できたー?」
「ああ…」
キュッとしっかり締めていたネクタイを緩めてドアを開けると、準備万端な彰がそこに立っていた。