第8章 honey.8
何度と繰り返した朝のやり取り。
あくびを噛み殺し、クロを床に離すと、カツカツとフローリングに爪を立てて高い音を鳴らしながらリビングに向かっていく。
その後ろ姿を追うように俺もベッドからおりてリビングに向かえば、すでにそこには美味しそうな朝ごはんが置いてあった。
「じゃ、いただきまーす!」
ぱんっと手を合わせた彰を横目に、俺も小さくいただきますと呟いて箸で焼き魚をつつく。
こんな朝が当たり前になってきた今日この頃。
あの日から歩と一切の連絡を絶っている。
学校で会うこともないし、前の生活が戻ってきたように穏やかでつまらない学園生活。
「ねえまっふん」
食ってから喋れ。
「…何」
もぐもぐと口を動かしていた彰がごくん、と喉を鳴らした。