第7章 honey.7
地下鉄を使って、なんだか久々な感じがする我が家へ足を踏み入れる。
鍵をきっちりかけられた我が家に人の気配は無い。
細心の注意を払ってからまずリビングに足を踏み入れると、テーブルに置かれたままの白い箱がまず目に入った。
「……あ」
それは俺がお土産として買ってきたケーキ。
変な好奇心からその箱を開ける。
…中身は何一つとして減っていなかった。
ああ、何だろうこの期待を裏切られたような感覚は。
もう食えねーかな…。
冬の部屋の温度は低いはずだ。
それでもそのケーキ達に手をつけることは出来なかった。
綺麗に箱を戻してからリビングにある時計を見る。
学校が終わるまで後20分弱。
歩と鉢合わせになることを避けるため、俺は急いで必要なものをカバンに詰めて行く。