第7章 honey.7
「おい彰、行くぞ…」
気に入った首輪を見つけた俺は立ち上がって背後を振り返った。
彰と店員はまだ話をしていて、俺の声など届いていない。
……はぁ。
心の中でため息をついた俺は、イライラする意識の中で彰に近づく。
楽しく談笑中の彰は背後から近づく俺の足音に全く気づかない。
それが更に俺を苛立たせたことも知らずに。
「彰…」
伸ばした俺の手が後ろから彰の顎に触れ、驚いた彰が後ろを振り返ったと同時に俺はその口を塞いだ。
「んっ?!」
彰と楽しそうに話していた店員に視線を送ると、彼女はかあっと頬を染めていた。
「…はぁ…」
「まっすん?!!」
ゆっくりと唇を離してから吐息を吐くと、目の前の彰が目を見開いて手のひらで口を覆った。