第6章 honey.6
「…………子猫」
「………」
小声で答えたそのまんまの名前に俺の動きも停止して、その原因となっている子猫だけが彰の腕の中で忙しなく手足を動かしている。
「そのまんまじゃねーかっ!」
「だって一週間前に拾ったばっかなんだもん!」
我慢できずに突っ込んだ俺を見て、彰はそれに反論する。
「一週間経ってんなら名前くらいつけてやれよ!」
「…んー、じゃあまっすんが名前つけて?」
「……は?」
ずいっと黒い子猫を俺に託した彰は、ニコッと微笑むと棚からキャットフードを取り出しご飯の準備を始めた。
「にゃあ!」
この状況を理解しているのかしていないのか、俺に抱きかかえられている子猫はキラキラとした目でこちらを見つめている。
……名前。
名前……か。
目を閉じ頭を捻りながら子猫の名前を考える。
「みゃあ。にゃっ」
早くと急かしてくる子猫の鳴き声に、俺の頭の中に一つの名前が浮かんだ。