第6章 honey.6
彰と俺は学校でも1、2を争う顔のよさだ。
そのため言いよってくる女子生徒も少なくない。
ただ、どう考えても俺より彰の方が言い寄られている場面が多かったし、女子生徒の間で俺より人気が高いのもまた確かだ。
「…お前の方がモテてんだろ?」
マグカップを置いてからナイフとフォークを持ち、いただきますと言ってからポーチドエッグにナイフを入れた。
すぐにトロトロとした黄身がフレンチトーストの上にこぼれ落ちる。
「…まっすんが知らない所では、真澄くんってクールでかっこいいっ!…って噂になってんだぞ」
わざわざ女子生徒の真似までしてくれた彰を一瞥し、フレンチトーストを口に含む。
「…あ、うまい」
外はカリッとしていて中はふわふわ、おまけにポーチドエッグがトロトロしている。
女子生徒の間でどう言われていようが、あまり興味は無い。
パクパクと食べ進める俺を見て、彰はそれ以上何も言わなかった。