第6章 honey.6
声がした足元に視線を向ける。
風呂上がりの俺の足に絡みつくようにして座っていたのは……。
真っ黒で小さくて、ふわふわな…。
「…みゃあ!」
子猫だった。
うっわ!!!
ちっせ!かわいっ!!
俺を見上げてみゃあみゃあと何度も鳴く子猫に俺の胸が撃ち抜かれる。
叫び声を上げないようにして口元を押さえプルプルと震える俺に気づいた彰は、その場にしゃがみ込むと子猫を片手で抱きかかえた。
「まっすん抱っこする?」
「!!!」
いいのか?!
俺の反応を見た彰はくすくす笑いながら、俺の腕の中に子猫を託した。
ふわふわの毛並みの子猫は俺の腕の中で何度か体を動かし、そのまま大人しくなる。
「かわいっ…!」
「くくっ…まっすんってホント猫好きだよね〜」
「うっせ!!」
居た堪れなくなった俺は、彰に背中を向けてリビングのソファーに腰を下ろした。