第6章 honey.6
頭は半ばパニックになっているが、力が上手く入らない体は彰のキスを受け入れていた。
「はぁっ、…ぁ」
「逃げないで…」
奥に引っ込めた俺の舌を追い詰めるように深く唇が合わさる。
苦しっ…。
「んんぅ…」
息を吸い込もうと口を開けば、彰の舌がより深く入ってくるのは分かりきっているのでなんとかそれだけは避けている。
それでもすでに深いキスに体が震えていた。
何で俺はこいつを受け入れてんだ!!
早く離れねーと…!
頭ではそれを理解しているのに…。
歩も見た目はあんなだけど男で、彰も男で…そう考えてしまうと分からなくなって。
体が別におかしいことでは無いと告げはじめる。
だって俺は…好きって感情を持ってないからー…。
「っはぁ…ぁ…」
「はっ、まっすん…」
離れた互いの舌を結ぶ銀色の糸。
消えたその糸を追うように、もう一度彰の唇が近づいてきた。