第6章 honey.6
「………まっすん?」
家から数十分の場所にある高層マンションの最上階。
つい1時間前くらいに別れた俺が来たらもちろん驚くだろう。
しかも時間が時間だ。
「どしたの?…とりあえず入りなよ」
息を乱した俺を部屋に招き入れる彰を見て、ぐちゃぐちゃになっていた感情が少し解れた。
「…っ、彰…」
俺の口から零れた言葉は思っていたよりも小さくて、絞り出すように目の前にいる彰の名前を呼ぶ。
名前を呼ばれた彰は一瞬、面食らったような顔をしたがすぐに優しい笑みを浮かべ、ん?と首を傾げた。
いつもはチャラチャラしてるのに、こんな時だけ大人っぽい雰囲気を醸し出すこいつはズルい。
その優しさに…縋ってしまいそうになる。
………ぎゅっ。
「…っ、ふっ…」
痛い。
体が…。
胸の奥が…。
……心が痛い。