第5章 honey.5
「真澄…何で俺を避けてんの?」
「っ!」
リビングを出ようとした俺の背後から聞こえた低い声に思わず俺の足が止まる。
「ここ1、2週間…俺のこと避けてるよね」
「避けてねぇ、って」
核心を疲れた言葉に嘘で返すのは難しく、変なところで言葉が詰まってしまった。
「彰センパイには大人しく抱きしめられてるくせに…」
「なっ!」
見てたのかっ?!
どの教室からも見えない場所だったはずだが、歩が知ってると言うことは…。
こいつもサボってたのか…?
「もしかして、彰センパイともヤってるの?」
「!!」
バッと後ろを振り向くと、冷たい瞳で歩は笑みを浮かべていた。
「彰センパイ上手そうだもん…」
口角を上げたまま言葉を繋いでいく歩に怒りが込み上げてきて、ギリっと奥歯を噛みしめる。
……が、怒りを抑えることは出来なかった。
「いい加減にしろっ!!!」
「っ?!」
なんでそんな事を言われないといけねーんだ。
俺の怒鳴り声に面食らった歩が、驚いたように目を見開いていた。