第5章 honey.5
どれだけそうしていただろう。
だんだんとウトウトしてきた俺の頭を彰がはたいた事で、閉じていた目を開いた。
「まっすん寝ないでよ」
「寝てねぇ…」
「声が眠そうなんだけど」
彰が笑う振動が伝わり、顔を上げてから距離を取る。
ゴシゴシと瞳を擦って眠気を吹き飛ばす頃には、先程まで感じていた罪悪感は何処かに行ってしまっていた。
こいつ人を励ますの上手いよな…。
特に言葉を繋いでいくのではなく、ただそばに居る。
それが女の子からほおって置かれない一つの理由でもあるのだろう。
「女の子だったらこの後ホテルに直行なんだけどね☆」
ペロッと舌を出した彰に顔が引きつる。
前言撤回っ!!!
ちょっといい奴だと見直した俺が間違いだった。