第5章 honey.5
冷たい缶ジュースを喉に流し込むと、まだ微かに熱を持っていた体が冷えていくのを感じた。
まだ授業中の校内は静かで、廊下には俺の足音だけが響いていた。
人のセックス覗き見するとかいい趣味だよな…。
歩とのあれこれを見られるよりは幾分かはましだ。
「帰りてぇ…」
「ふーん。あれが新任教師かー」
「………」
「………」
え。
「どっから湧いてきたっ!!!」
背後から俺の首元に手を回してきた彰を押しやって距離をとる。
「しーっ。今授業中だよ?」
けろっとしている彰は人差し指を立ててパチリと慣れた様子でウインクをした。
しーっじゃねぇよ!!
飄々とした態度にイライラは増幅するが、少し先の教室では授業が行われている。
叫びたい思いを飲み込んでギロッと彰を睨んだ。