第4章 honey.4
怒らせたか?
ズカズカとリビングへ戻っていく歩の後ろ姿から感情を読み取ることは出来ない。
せっかく作った晩御飯を無駄にされてしまったんだ。
怒らない方がおかしいのかもしれない。
「……真澄」
「何?…えっ?!」
ドサッ…!!
「いっ、て…」
ぐいっと掴んでいた手首をソファーに縫い止めるようにして俺を押し倒した歩は、馬乗りになったまま口角を吊り上げた。
「ハンバーグなら気にしないで?…代わりに真澄のこと頂くから」
「はあっ?!」
何言ってんだ?!
言葉の意図が分からずに上に乗っている歩に視線を向ける。
っつか、この状況…。
手は縛られていないものの、この態勢は初めて歩に襲われたあの夜のことを思いださせた。
「分かったみたいだね、真澄」
「さ…さっきもヤっただろ?!」
俺の言葉に歩は大袈裟にため息を吐くと、後ろ手で俺のものを握った。