第4章 honey.4
火を消したフライパンの上に残ったのは、真っ黒に焦げた今となっては得体の知れないハンバーグ。
…やっちまった。
項垂れる俺の後ろから顔を出した歩は、フライパンの中を見て眉を寄せた。
「…丸焦げ…」
「わりぃ。火止めるの忘れてた…」
「もうタネないよ?」
「近くのスーパー行ってなんか買ってくる」
さすがに晩御飯がサラダと味噌汁だけというのは物足りないだろう。
「真澄…そんなエロい格好で行くの?」
「は?…あっ!」
真っ黒になったハンバーグを袋の中に捨てながら、自分の格好を確認して声を上げる。
上のジャージのファスナーが完全に開いていて、汗ばんだ肌がむき出しになっている。
そういえばさっきまで…!
ハンバーグの事で一瞬飛んでいたが、歩に色々とされていたままだった。
慌ててフライパンを置いてジャージのファスナーを締める。
思い出したらさっきまで気づかなかったところまで気づいてしまう。
散々触られてイく直前だった俺のはじんと熱を持ち疼きだしていた。
…とりあえずもう一回風呂だな。
「風呂入ってから買ってくる」
「もういいよ」
冷たく返された一言に目を瞬かせていると、歩がぐっと俺の手首を掴んで歩き出した。