第2章 鍛錬
誰に言われたわけでもなく、
毎日毎日ひたむきに鍛錬を続けていたのは
炎柱になるためだったんだ。
自分が強くなるため…
ううん、それだけじゃない。
誰かを、守るために。
杏寿郎のことが
とても誇らしく思えた。
それはきっと、千寿郎くんも一緒だろう。
「あっ、お昼ご飯まだだったね!
お茶入れてくるよ」
「じゃぁ僕はここの片付けを…」
*
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食べ終えて、一休みをしても
杏寿郎はまだ帰ってこなかった。
「…杏寿郎遅いね。
最近日が落ちるのも早くなってきたし
私、見に行ってくる」
「それなら僕も一緒に行きます!
最近あの山には熊が出ると
兄上が仰っていたので
熊除けの鈴と提灯を持っていきましょう」
「ありがとう、心強いよ」
そう言うと、
頬を赤くして笑う千寿郎くんがいた。
「雪華さん、足元に気をつけてくださいね。
僕の手を握ってください。
兄上より、頼りないかもしれませんが…」
まだあどけなさが残る千寿郎くんだが、
兄の背中をみて育ったからか
同じ歳の子供たちより
しっかりして見える。
「そんなことないよ!ありがとう。
千寿郎くん、杏寿郎に似てきたね」
「えっ…そうですか?とても嬉しいです!
僕も、兄上のような立派な人になりたいです!」