第2章 鍛錬
「千寿郎くん、これで頬を冷やして」
「ありがとうございます」
井戸水で冷やした手拭いを渡す
「兄上と雪華さんはいつも僕に
優しくしてくださる」
…胸が痛かった
槇寿郎さんは、杏寿郎のことも千寿郎くんのことも
大切に大切に思っているのに
どうしてこう、空回ってしまうのだろう
「…千寿郎くん、あの書物には何が書いてあるの?
槇寿郎さん、とても嫌っているようだったけど」
「あ、あれは歴代炎柱ノ書と言いまして…」
煉獄家は代々、非政府組織である
鬼殺隊の炎柱を担っていた。
日の呼吸からの派生である炎の呼吸を使い、
日輪刀という特別な刀で鬼を滅することを
生業としていた。
呼吸に合わせた型を使い、
日輪刀から繰り出される技は
まるで炎を纏っているかのように見える。
槇寿郎さんも若い頃は炎柱として
鬼殺隊の中核となる人物だったそうだ。
そして今、杏寿郎も父の背中を追って
炎柱を目指している。
杏寿郎が言ってた剣士って、
鬼殺隊のことだったんだ…