第2章 鍛錬
「千寿郎くん、先にご飯食べちゃおうか
お腹がすけば杏寿郎も帰ってくるよね」
「いつもありがとうございます!」
「これ、槇寿郎さんのぶん。
持っていってあげて」
「はい!」
縁側に腰をかけると、
畳の上に無造作に置かれた書物が目に入った。
「もう、また散らかして…」
やけに年季の入ったそれには
『二十一代目炎柱ノ書』
と書かれていた。
「…炎柱?」
興味本位で中をペラペラとめくってみたが
漢字が並ぶばかりで
全く理解ができなかった。
「おい!!雪華何をしている!!」
突然、槇寿郎さんの怒鳴り声が飛んできた。
「この本が散らかっていたので…」
「こんなもの…っ!!」
私の手から無理やり書物を奪い取ると
狂ったように紙を破き始めた。
「槇寿郎さん!?」
「父上!おやめください!
それは兄上が大事にしている書物です…!!」
「うるさいっ!!」
——バシィッ!!
「千寿郎くん!!」
小さな身体が槇寿郎さんの拳で
宙に浮いた。
「こんなもの、なんの役にも立たない!!」