第2章 鍛錬
幼い頃は
転んだとか、疲れたとか、
そういうことを言って
杏寿郎におぶってもらうことは
しょっちゅうだった。
しかし、
年齢を重ねていくにつれ
お互いに気恥ずかしさが
出てくるようになると
自然とそういうことは無くなっていった。
「杏寿郎〜!そろそろお昼ご飯にしよう!」
重箱を下げて、
煉獄家の立派な門をくぐる。
「あっ!雪華さん!
兄上は今山登りの鍛錬中なんです」
杏寿郎そっくりな弟、千寿郎くんが
出迎えてくれた。
「えー、また?最近山に登ってばっかりね」
杏寿郎はここのところ朝から晩まで
鍛錬!鍛錬!とうるさい。
杏寿郎のお母様…瑠火さんが亡くなった頃から
鍛錬を始めていたみたいだけど
より一層力が入ってるのが分かった。
ある日は木刀で素振り
ある日は太い丸太を3本担いで屈伸運動
ある日は千寿郎くんを背中に乗せて腕立て伏せ
まるで兵にでもなるつもりか。
杏寿郎に聞いても、
「もうすぐ最終選別があるからな!」
と、よく分からない返事しか聞けなかった。