第6章 すれ違う思い
「少しは骨のある柱が来たか」
俺は…何をしにここへ来たんだ。
鬼を討つためでは無いのか。
俺は…
俺は…っ!!
…部下の死体を踏みつけて、
応援に駆けつけてくれた仲間を見捨て、
俺は逃げた。
「なんだあいつは。
柱とは名ばかりの腰抜けが」
「黙れ悪鬼め!!俺の仲間を侮辱するな!!
その喉、掻っ捌いてやる!!!」
友の声を聞いたのは、それが最後だった。
己の無能さに打ちひしがれているとき、
畳み掛けるようにして瑠火が死んだ。
俺はもう、何故生きているのか分からなかった。
だが、死ぬほどの勇気は持ちあわせていなかった。
俺がぐずぐずしている間に、
杏寿郎や千寿郎は立派に成長していく。
特に杏寿郎は俺に似ているところがある。
いつか俺と同じ轍を踏むのではないかと思うと
とても稽古をしてやる気にはなれなかった。
しかし、杏寿郎はたった三冊しかない炎柱ノ書から
呼吸や技を身につけた。
剣技の才は俺よりも杏寿郎のほうがはるかに上だ。