第4章 涙の色は
「「 ……… 」」
え、え、どうしよう?
何を話せばいいんだろ?
「雪華…」
「は、はい」
名前を呼ばれて杏寿郎を見ると
酷く悲しい顔をしていた。
「杏寿郎…どうしたの?
…わっ!?」
腕を急に引っ張られ、
体勢を崩してしまった。
トン、と額に当たったのは
杏寿郎の胸。
「雪華、無事で何よりだ」
脈打つ鼓動が速い。
これは私の鼓動か?それとも…
徐々に顔に熱が帯びてくる。
「杏寿郎…怖かったよ…怖かった…
助けてくれて、ありがとう…」
杏寿郎の腕が、優しく私を包む。
あったかい。
ずっとずっと我慢していた涙が
一気に溢れて止まらない。
「怖い思いをさせてすまなかった。
俺は何があっても雪華を守る
雪華を、守りたい」
「…うん」
私の涙が、
杏寿郎の着物に吸い込まれていく。
落ち着くまで、杏寿郎は背中をさすってくれたり
トントンしてくれたり
それはそれは心地よい時間だった。
「どうだ?落ち着いたか?」
「うん、だいぶ…」
「良かった。顔を見せてくれ」
「えっ!?嫌だよ、ひどい顔してるもん」
昔は泣こうが鼻水たらそうが
平気だったけど
それはまだ幼かったからで…