第4章 涙の色は
「杏寿郎、千寿郎くんがね
一生懸命私を守ってくれたの。
その背中がね、杏寿郎にそっくりで
びっくりしちゃった。
本当にありがとう」
「さすが、俺の弟だ千寿郎!
雪華を守りきるとは立派だぞ!」
杏寿郎が千寿郎くんを抱っこして
頭を撫でている。
嬉しそうに、恥ずかしそうに照れて笑う千寿郎くんは
やっぱり可愛かった。
「千寿郎、本当によくがんばったな。
兄は誇りに思うぞ!さぁ今日は夜も遅いし
早く寝よう」
「はい、兄上。
雪華さんがご無事で良かったです。
では、おやすみなさい」
手当てを終えると
千寿郎くんは自分の部屋へ戻った。
「…雪華、少し二人で話をしないか?
疲れているのであれば、無理は禁物だが…」
「ううん、平気だよ」
「そうか。こちらへ来てくれないか」
「はい」
縁側に腰をかけると
月がみえた。今日は半月だ。
「こうしてゆっくり話すのは久しいな」
「そ、そうだね」