第4章 涙の色は
杏寿郎がハツラツと答え終わったときには
3人の姿が消えていた。
「…えっ!?」
「杏寿郎お前!自分が何をやったか分かっているのか!」
槇寿郎さんの声が聞こえて振り向くと、
杏寿郎を地面に突き倒し、馬乗りになっていた。
千寿郎くんは力なく壁際に転がっている。
「槇寿郎さん!やめてください!
杏寿郎も千寿郎くんも私を助けてくれたんです!
あの日の槇寿郎さんのように…!!」
「…離せ雪華!!」
——バシィ!!
「きゃっ…!」
杏寿郎から離れさせようと、
槇寿郎さんに飛びついたが
振り解かれてしまった。
「父上!!!」
杏寿郎が一丁先まで届きそうな大声で叫ぶと
今度は槇寿郎さんが向こうの方へ
飛ばされていた。
「いくら俺の尊敬する父上であろうとも!!
雪華を傷つけることは
決して許しません!!」
尻もちをついて座り込んでいる私の前に
両手を広げ、背を向けた杏寿郎が立っていた。
あれ…?
杏寿郎の背中ってこんなに大きかったっけ?