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キスしようとするとトリップするのやめてもらえませんか

第1章 はじまり





待って…私の隣を通り過ぎた?
はっ、として前を見るとソコは未だ赤信号を示していた。
男の子は上を向いていて気が付いていない。
母親はどうしたのだ、周りを見渡すがママ友なのか人と話していて息子が居なくなっている事に気がついていない。
ちっ…何をやっているんだ、心の中で舌打ちをするが今はどうでもいい。
早くあの子を助け…と男の子を見ると転んでしまったらしく、靴が片方脱げていた。





そして遠めに車が1台こちらに向かっているのが見える。
これは本格的にやばい、そう思った。
それと同時に身体が動き、男の子の元へと走る。
男の子は脱げた靴を拾い履こうとしている、気付いていない。
車の運転手も男の子に気付いていないのか、速度を下げないのだ。



「きゃっあ」
誰かが男の子の状況に気付き声を上げる。
漸く周りにいる人間も彼の状況に気付き始めザワザワとし始めるが誰も動かない。
携帯電話で撮影している輩も居た。



プーーーーっ!!!
運転手が男の子に気付いてクラクションを鳴らす。
男の子も車に気が付いたようだが、動けないようだ。
車はもう目の前まで来ているというのに。



どうすれば、と考えるより先に身体が動いた。
気付けば男の子の元へと走り出していた。
車と男の子がぶつかるまで、もう時間がない。
持てる力を振り絞りなんとか男の子の元へと着いた。
男の子を抱き締め私が走って来た方向に突き放す。
他の人が男の子を受け止めてくれた、あぁあの子は無事だ。
そう気が抜けた私の視界の端に車のヘッドライトが眩しく映って…





気が付いたら何故かふかふかのベッドの上に座り込んでいた。




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