第12章 ※盛夏・残更の法悦※
「あっ、巌勝様っ・・・、激しっ・・・、」
「お前が悪いのだ・・・。好きなようにしろ、と煽るから・・・、手加減はせぬぞ・・・」
熱を帯びた声音で囁き、荒々しく腰を律動させた。二人の繋がりはますます深くなり、キリカも淫らに腰をくねらせる。
「ひぁっ、あっ、あぁっ・・・、」
容赦ない突き上げをされる度に、花弁が蜜を吐き出した。達したばかりの身体に得も言われぬ愉悦が再び襲いかかる。
「巌勝様っ、これ以上は・・・、私っ・・・、あぁっ、」
これ以上の快楽を与えられたら気が狂ってしまいそうだ。必死に訴えるが、唇から溢れるのは譫言のような嬌声のみ。
「あぁっ・・・、だめぇっ・・・、」
必死の訴えも、欲望に煽られた黒死牟の耳には届かない。キリカの足を軽々と担ぎ上げると、止めを刺さんばかりに腰を律動させた。
「もっと乱れろ・・・、キリカ・・・」
「んぅっ、ああっ・・・、巌勝様っ・・・」
滾る情欲のまま、互いを求め合う。快楽に身も心も浸す。何も考えられない。
「あっ、やぁっ・・・、もう、駄目・・・」
絶頂の訪れが近い二人は、どちらともなく手を取り合い、指と指を絡め合った。決して離さぬと固く。
「キリカ・・・」
「巌勝様っ・・・」
幾度も幾度も名を呼び合う。唇に名を載せ、見つめ合う。二人の纏った香りが螺旋のように絡み合い、夏の早朝の清冽な空気に溶け込んでいく。
「あぁっ・・・」
一際、艶かしい嬌声と共にキリカは達した。狂おしい愉悦に、脳裡に数多の星が煌めくような錯覚を覚える。
「キリカ・・・、私だけの・・・、キリカ・・・」
達したキリカの花弁が淫猥に蠢く。堪らず、黒死牟はキリカの胎内に大量の精を放った。
「巌勝様・・・」
灼けつくような迸りが満ちていくのは堪らなく心地好い。全てを受け止め、歓喜に震えるキリカの意識が急速に遠退いていく。快楽の奔流に身を任せるように、目を閉ざした。