第12章 ※盛夏・残更の法悦※
どうしてこんなに安らぐのだろうか。どうしてこんなにも愛おしいのだろうか。
(巌勝様・・・)
答えを求めるかのように視線を上げれば、黒死牟と目が合う。
「・・・・・・」
美しくも禍々しい深紅と黄金の六つ眼は、キリカの心を捕らえて離さない。
美しすぎる異形。
ざわり、と胸の奥が妖しく疼いた。キリカは黒死牟の頬に手を掛けた。流れるように唇を重ねる。
「ん・・・・」
羽根で撫でるような柔らかな口付けを繰り返しているうちに、キリカは欲望に再び火が灯されていくのを感じていた。
黒死牟とは胎内の奥深くで繋がったままだ。先刻、達したばかりだと言うのに、身も心も狂おしく昂っていた。
口付けが激しさを帯びていく。幾度も舌を絡ませあい、吐息を奪い合うような淫らな口付けに変わっていった頃。
それまで、されるがままだった黒死牟が、キリカの背に回した腕に力を込めた。キリカもすがり付くように黒死牟の頭に手を回す。
「まだ・・・、足りぬのか・・・」
繋がりを解かぬまま、キリカの身体を褥に横たえた。
「はい・・。もっと・・・、巌勝様をください・・・。好きなように・・・なさってください・・・」
顔容をほんのりと上気させながら微笑んだキリカが黒死牟の耳元に唇を寄せた。
「・・・・っ」
短く息を呑んだ黒死牟が、キリカの足を押し開いた。胎内のものを深々と埋め込む。
「あ、あぁっ!・・・んんっ、」
撃ち付けられるような衝撃にキリカは目を見開いた。猛り狂ったものが胎内の奥へ奥へと穿たれていく。一突き毎に、身震いする程の快感が生まれては全身に満ちていった。
「あっ、んぁっ・・・、巌勝さ・・まっ・・」
より奥深くへ導くように淫猥に蠢く腰を、黒死牟が押さえつけた。胎内のものを勢いよく引きずり出しては、最奥に叩きつけるように突き立てる。
「はぁっ・・・、んぅっ・・・」
あまりの激しさに呼吸が止まりそうになる。心までが愉悦の波に拐われてしまいそうだった。
「あっ・・・、はぁっ・・・、んんっ・・・」